固有ベクトルと固有値

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中身を調べてみました。
なお、本例では分かりやすさのために、
2次元のベクトル空間で話を進めます。

なお、線形変換の話が前提となっています。
Statistics: 線形変換

また、資料として、こちらを使わせて頂いております。
第10回 固有値その応用 資料
線形代数学2009(電子)
データの例、文言などは、可能な範囲で合わせました。
併せてご覧ください。

(1)固有ベクトルと固有値

線形変換を行う際、
その前後で、ほとんどのベクトルは向きを変えます。

例えば、線形変換の行列Aを次のように定めると、

座標点 (x, y) = (1, 0) は 次のように (x’, y’) に移されます。

原点からのベクトルの傾きを調べてみると、

(x, y) = (1, 0) の傾きは 0 ですが、
(x’, y’) = (2, 1) の傾きは 1/2 です。

もう一例調べてみます。(x, y) = (1, 2) としましょう。

(x, y) = (1, 2) の傾きは 2 ですが、
(x’, y’) = (4, 5) の傾きは 5/4 です。

このように、ほとんどのベクトルでは、
線形変換の前後で、方向が変わってしまいます。


しかし、例外的に、方向の変わらないベクトルがあります。
それは、原点を通る、ある傾きの直線上に乗っているベクトルです。
これらは、線形変換の前後で、傾きが変わりません。

この、ある傾きの直線上に乗っている、
方向の変わらないベクトル、これらのことを
「固有ベクトル」と呼びます。

※ こちらに良い説明がありました ※

例を見てみます。 (x, y) = (1, 1) としますと、

(x, y) = (1, 1) の傾きは 1 です。そして、
(x’, y’) = (3, 3) の傾きも 1 となります。

このように、座標点 (1, 1) は、
線形変換の前後で傾きが変わっていません。

ただし、同じ向きで、倍率が3倍に伸びています。
この倍率のことを、 「固有値」 と言います。


なお、固有ベクトルの数は、無数にあります。
線形変換の前後で、方向の変わらない方向、
その方向を向いているベクトルの一つ一つを、固有ベクトルと
呼ぶため、固有ベクトルの数は無数にあるのです。

ある方向を向いている、固有ベクトルの集合を指して
固有空間と呼びます(零ベクトルも加えます)。

なお、固有ベクトルの「方向」の数は、
次元数と同じだけ、あります。
今回は、2次元のベクトル空間を例としていますので、
固有ベクトルの「方向」の数は2です。

また、固有値の値も、対応して2となります。

固有値は、固有ベクトルの向き一つに対して、
一つの値が対応するため、
固有ベクトルの向きの数だけ、固有値があります。

逆に言えば、次元の数だけ、固有値があり、
固有値にそれぞれ、固有空間が対応し、
固有空間に含まれるベクトルが、固有ベクトルとなるのです。

(2)固有関係式

ある線形変換に対応する行列をAとし、
このAに対応する固有ベクトルを ) 、固有値を λ とした際、

が満たされます。
これを固有関係式といいます。

なお、この関係式では、
λ」はスカラーの値を指し、
「=」は、ベクトルの方向が等しいことを意味します。

すなわち、
「あるベクトル に、線形変換の行列 A をかけたら、
そのベクトル が、スカラーの λ 倍されちゃったよ」

という意味の関係式です。

(1)と同じことを、言っています。

この固有関係式が、
固有値および固有ベクトルの算出に必要です。

(3)固有方程式

固有ベクトルは、固有値を求めた後に、計算します。
まずは、固有値から求めます。
固有関係式、

が、自明でない解 ) を持つためには、

と、ならなければなりません。
これを、固有方程式と言います。

なお、I単位行列を、
det行列式を指します。

引用ですが、、、

一般に、与えられた正方行列 に逆行列( )が存在すれば、
( すなわち のとき)*

となり、

を満たすベクトルは自明解 だけとなる。

したがって,自明解でない解が存在するためには
が存在しないこと
が条件となる。

* 一般に、行列式の値が0でない正方行列には、逆行列が存在する。
あと、この行に 「すなわち」 を加筆しました。

http://www.geisya.or.jp/~mwm48961/linear_algebra/eigenvalue2.htm

固有方程式の は正方行列ですので、
に置き換えられます。
A が正方行列であり、I はそれに合わせた単位行列であるため)

2次の行列式の値は、次の式で求められます。

線形変換の行列 A を、次のように定めると、

固有方程式は、以下となり、

行列式より、

よって、固有値 λ は、以下のように求まります。

(4)固有ベクトルを求める

固有値が求まれば、後は対応する固有ベクトルを
求めることができます。

λ =1 の固有値に対応する固有ベクトルを調べます。
固有関係式より、

となり、 とおくと、

となる。

行列の積より、
となるので、

となる。

よって、任意の定数 k を用いて、

と表すことができる。

λ=1に対応する固有ベクトルは、上記の定数倍(マイナスも含む)となる。


同様に、λ=3の場合は、

 となり、

任意の定数 k を用いて、

と表すことができる。

以上です。

例では、2次元で説明しましたが、
次元数が上がっても基本的に同じです。
行列式の計算が、手計算で困難になっていくだけ。

Rでの計算例

先の行列 A について、Rでの計算例を示します。

(A<-matrix(c(2,1,1,2), 2, 2));
[,1] [,2]
[1,] 2 1
[2,] 1 2
(e<-eigen(A));
$values
[1] 3 1
$vectors
[,1] [,2]
[1,] 0.7071068 -0.7071068
[2,] 0.7071068 0.7071068

表示される固有ベクトルの値は、
長さが 1 になるように調整されています。
すなわち、 a2 + b2 = c2 = 12 で、
上の例ではa と b の長さが同じであるため、
2a2 = 1 ,
a = sqrt(1/2) = 0.7071068 となります。

2乗して2倍すると、元に戻ります。
ただし、負の符号が消えてしまうため、
符号を取り出しておいて、最後にかけます。

e$vectors^2*2 * (e$vectors/abs(e$vectors));
[,1] [,2]
[1,] 1 -1
[2,] 1 1


参考にしたページ
http://batmitzvah.blog136.fc2.com/blog-entry-5121.html
行列の固有値って何だろうか
■固有値,固有ベクトルの求め方
【 コラム・・・固有値と固有ベクトルは,どちらがニワトリでどちらが卵か 】
実正方行列の固有値問題

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